自動車優良部品推奨制度に基づき、JAPAから推奨を受けた補修部品は約200品目にのぼる。
 各部品メーカーによる推奨製品へのこだわりと、品質維持のための取り組みを紹介する。

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 エンジン冷却水の温度をコントロールし、常に最適な性能が得られる温度にエンジンを保つ役割を果たすサーモスタット。

 唯一、サーモスタットでJAPA推奨品の認証を取得している多摩興業は、カーメーカー全社に納入するサーモスタットメーカー・日本サーモスタットの関連企業として、国内で唯一市販サーモスタットを製造・販売。純正品と同等の高い品質、充実した品揃えで市場からの信頼は高く、部品商・整備工場を中心にアフターマーケットで約9割の高いシェアを維持している。


◆樹脂サーモスタットに注力

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 自動車業界全体の重要課題である「燃費向上」へのアプローチのひとつとして、多くのメーカーが取り組んでいるのが「軽量化」。サーモスタットについても、樹脂を採用した製品が主流となっている。

 こうした動きに対応し、同社は「樹脂ハウジング一体サーモスタット」の量産にいち早く取り組んだ。

 これまでアルミ製であったハウジングをより軽量な樹脂製にし、別体であったサーモスタットと一体化したもので、従来品より約200グラムの軽量化を実現。ハウジングと一体化することで、車両側の組付け工数削減や取り付け部品の削減にも繋がり、さらなる軽量化も実現する。また、樹脂を使用することでレイアウトや形状の自由度が高まるといったメリットもある。

 ハウジングを樹脂製にする上で最も大きな課題となるのは、エンジンルーム内の熱や振動、巻き上げられる雨水や粉塵などにも対応できる性能を維持すること。同社は加工性や耐久性の面で最適な材質を選択し、樹脂本来の特性や性能を最大限に引き出す最適な成形を行うことで、エンジンルーム内の厳しい環境にも耐えられるハウジングを製造。

 同社は栃木県の塩谷第2工場を樹脂サーモスタットの生産拠点とし、樹脂ハウジング一体サーモスタットを一貫生産。生産の各段階で徹底した全品検査を実施し、品質・仕様ともに純正品と同等の製品を、優良市場へ迅速に供給している。


◆新たな課題・模造品対策

 不良品・模造品の排除を掲げるJAPAの準会員である同社にとって、近年海外市場で急増する模造品への対策も大きな課題。

 模造品の多くは品質面で劣っているものが多く、こうした粗悪なサーモスタットを使用することで、オーバークールあるいはオーバーヒート、サイズ不適合といった不具合が発生しやすい。一部では樹脂が溶けるといった事例も発生している。

 近年、カーメーカーの要請によりサーモスタットの形状が複雑化していることで、サーモスタットメーカーには材質の選択や成形技術等において、より確かなノウハウが求められる。その反面、技術力の低い製品ほどオーバーヒートなどの不具合が発生しやすい。

 国内アフターマーケットでは、交換用サーモスタットの交換率が近年低下傾向で、サーモスタットを長期間使用するユーザーが増えている。それだけにこうした粗悪な模造品を使用した場合、不具合によるトラブルの危険性はより高まる。

 すでに国内市場でも模造品によるクレームが確認されており、今後こうした粗悪な製品が国内でも増加することになれば、同社製品の信頼性低下はもちろん、サーモスタット全体の信頼が損なわれるとして、同社では強い懸念を抱いている。

 このため同社では、アフターマーケットに向けてサーモスタットに関する正しい認識を広め、粗悪なサーモスタットを使用する危険性や適切な製品を選ぶことの重要性を訴える活動に力を入れている。

 また、サーモスタット=交換部品であることもアピールし、早めの交換も呼びかける。現在は、主に東南アジアや中南米など海外市場を中心に、イメージキャラクターを使った販促グッズによるPR等を展開。またリーフレットなども作成し、サーモスタット自体の認知度アップも図っている。

 今後はこうした取り組みを国内市場においても活発化させることで、多摩ブランドとしての品質へのこだわりをアピールし、模造品との差異を明確にしていく。


会社概要

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多摩興業株式会社

〈代表者〉大西祥敬 代表取締役社長

〈本社〉東京都清瀬市中里6-59-2

〈塩谷工場〉栃木県塩谷郡塩谷町田所字東山2203-3

〈URL〉http://www.tama-e.co.jp



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一般社団法人日本自動車部品協会 JAPA