生駒商事株式会社
このほど自動車ガラスの専門商社、生駒商事株式会社がJAPAの準会員として入会した。
自動車ガラスの交換はこれまで自動車ガラス専門店で行われるのがほとんどだったが、最近では一般整備工場でも内製化する動きが見られ、自動車ガラスは新たな収益や集客が見込める商材として注目され始めた。
自動車ガラスというと専門的で特殊なもの、というイメージだが、生駒商事の社長、小寺浩吉氏は「ガラスは決して特殊なものではなく、自動車部品のひとつ。整備工場のニーズをよくご存知の部品商様にこそ扱っていただきたい商品」と話す。
◆専門スタッフが検品を徹底
同社は今から55年前に米国車用の自動車ガラスの輸入販売からスタート。輸入規制に加え、在庫管理や取り扱いも非常に難しい商品だったが、試行錯誤を重ねてビジネススタイルを確立。それからは欧州車用ガラスの取り扱いも増え、外国車専門のイメージが強い同社だが、近年は国産車用ガラスの品揃えも拡充している。
横浜と福岡に商品管理センターを持ち、フロントガラス、リアガラス、ドアガラスなど常時約1万2千アイテムをストック。外国車用ガラスはほぼ100%のラインナップを誇り、国産車用ガラスも日本、欧州、米国の安全基準をクリアしたFUYAO社製を常時2500アイテム以上在庫している。
そこでは自動車ガラス1枚、1枚を専任スタッフが入念に検品したうえで即日出荷する体制が整えられており、輸入商社といえども、自動車の安全を担う企業の使命として、徹底した品質管理を行っている。
また、赤外線や紫外線を吸収する断熱フロントガラス「サンテクト」や、赤外線を90%、紫外線を99・9%カットし、快適な車内環境を実現するうえに、ドレスアップ効果も得られる最新の熱反射フロントガラス「コートテクト」といった高付加価値製品もオリジナルブランドとして開発し、新しいマーケットにも果敢に挑戦している。
世界最大級と言われるカスタムカーイベント「東京オートサロン」や業界関係者向けの「国際オートアフターマーケットEXPO」等、各種展示会にも出展し、積極的に製品PRを展開している。
◆ADAS対応フロントガラスを開発
豊富なラインナップを展開する同社が現在特に力をいれているのがADAS(先進運転支援システム)搭載車用のフロントガラス。
各カーメーカーのブレーキアシストシステムは、フロントガラスに設置されたレーダーやカメラでモニターしている。
ADASを搭載した車種はこれから増加する一方で、フロントガラス交換においても今後はADASに対応した技術の習得が不可欠となってくる。
このADAS対応のフロントガラスは、世界大手の自動車ガラスメーカーである中国のFUYAO社で生産しており、現在、純正品以外でADAS対応のフロントガラスをアフターマーケットに供給できるのはFUYAO社だけとのことで、先進技術にいち早く対応したことが大きな強みとなった。
徹底した品質管理のもとに、ガラスのコンビネーション、厚み、透過率等、純正同等のフロントガラスを開発。第三者機関で計測し、機能に問題がないことを実車テストを行い確認している。
またブラケット付きのため、ブラケット移設等の面倒な作業の必要もなく、正確に取り付けられる。
社長によると、中国のガラスメーカーは200社ほどあり、規模も技術も様々だそうだ。
「中国のメーカーとビジネスを始めるのは簡単だが、いかにして品質を安定し、維持してもらうかが一番難しい。こちらが信頼できる相手を探すのではなくて、あちらから信頼されるようにならないといけない。トップの方だけではなく、工員の方にまで自分のことを知ってもらえるよう、何度も足を運んだ」と小寺社長。
世界のカーメーカーへ純正供給する高い技術力を持ったFUYAO社との強い信頼関係が同社の武器となり、いち早く先進技術への対応を実現した。
◆「一緒にスタートラインに」
現在、国内のアフターマーケットには様々な製品が存在しており、その流通形態も多様化している。
小寺社長は「エンドユーザーが本当に喜ぶ商品を流さないとその商売はダメになる。値段を安くしなくても、お客様を喜ばせれば納得して買っていただける。うちはB to Bの商売だが、少しでもエンドユーザーの喜びにつながるような営業をやっていきたい」として、メーカーといえどもエンドユーザーを見なければいけないと指摘する。
「いままで部品商様が自動車ガラスを扱っていないということは、扱いにくいと思われているということ。自動車ガラスを部品商様にも扱っていただけるよう、技術情報も含め、商品のことを丁寧にご説明していく」との方針だ。
また自動車ガラスは、割れなければ交換需要がないと思われがちだが、他の部品と同じように経年劣化する。たとえ小さな傷でも強度の低下が避けられないため、安全を保つためにはガラス自体の交換が望ましいとされている。
自動車ガラスは、部品商や一般整備工場がこれまであまり扱っていなかっただけに、今後のマーケットの拡大がおおいに期待できる商材ではないだろうか。
自動車業界は100年に一度の大変革期と言われ、クルマの概念が新たなものに変わってきている。こうした中、小寺社長は「部品商様と一緒にスタートラインに立てる商材」と自信を持って自動車ガラスを薦める。スタートラインには早く着けば着くほど、成功への道が近そうだ。
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