自動車用および各種産業用伝動ベルトを製造販売するバンドー化学は、1906年に日本初の木綿製の伝動ベルトを開発し、今年創業110年を迎えた。
現在、自動車部品事業は売上全体の約4割を占め、そのうち補修用では、主力である自動車エンジン補機駆動用伝動ベルト「リブエース・エコ」、「リブエース・フィット」、バスやトラックなどに多く使われる「ローエッジVベルト」のほか、カムシャフト駆動用のタイミングベルトなどを幅広く展開している。主力製品である自動車エンジン補機駆動用伝動ベルトは、国産車のほぼ100%に適用している。
同社では、1990年の伝動技術研究所を開設以来、最先端の伝動技術に関する研究開発に取り組んでおり、最新の技術やノウハウをアフターマーケット向け製品に迅速に反映できるというOEMメーカーとしての強みを最大限に活かしている。
また、全て国内生産拠点で製造し、ISO認証に基づく生産管理体制や、各工程での入念な検査体制によって、万全な製品を市場に供給している。
◆補機駆動用伝動ベルトとオートテンショナを合わせて提案
自動車エンジン補機駆動用伝動ベルトは、ベルトの寿命に大きく影響する屈曲疲労を軽減するため形状や材質の開発・改良を進め、現在はベルト厚みが薄く、屈曲性に優れるVリブドベルトが市場でも主流となっている。
ベルトの屈曲性が向上したことにより、従来の2軸駆動から1本のベルトでエンジンを駆動させるサーペンタイン化が進展したが、サーペンタイン式の駆動では、ベルト張力を自動調整するオートテンショナが必要となる。
オートテンショナはベルトとのマッチングが重要とされるため、同社は09年に「バンドーオートテンショナ」をアフターマーケット向けに発売。国内で唯一、ベルトとオートテンショナの双方を製造販売することで、ベルト本体だけでなく駆動システムとしての提案を可能とした。
昨年からは一方向クラッチ内蔵のオルタネータプーリ「BSC(バンドースムースカップラー)」の本格展開も開始し、今後もこうしたベルト関連部品も含めた提案をさらに拡大していく方針だ。
また、サーペンタイン化でエンジンルームがコンパクトになったこと等に対応し、ベルト張力を測定する張力計「テンション・マスター」を12年に発売。これまで人の感覚に頼っていたベルト張力調整について、ベルト張力を数値で計測することで、より適正に管理し、信頼性向上につなげた。
◆ベルト交換促進にも注力。摩耗チェック用ツールも提供
2000年代から、自動車エンジン補機駆動用伝動ベルトの主な材質が従来のクロロプレン(CR)から耐久性に優れたエチレンプロピレン(EPDM)に替わったことで、これまでベルトの主な交換目安であったクラック(ひび)が発生しにくくなり、摩耗が主な交換目安となっている。
しかし、摩耗はクラックと異なり一見するとわかりにくいため、ベルトの摩耗に気づかず使用するケースも見られる。
摩耗が進行すると異音の発生やハンドル操作が重くなるなどの症状が発生し、最悪の場合、走行中にベルトが切れることもあるため、ベルトメーカーの間では、「予防整備」の啓蒙に注力する傾向が強まっている。
このため同社も、品商や整備工場等を対象にベルト交換を促進する活動を展開するほか、同社HPやYouTubeで、ベルト交換の重要性や作業手順を解説した動画の配信も行っている。
さらにベルトのリブ面に当てて、ベルトの摩耗状態を確認する「摩耗ゲージ」を開発。整備工場らに配布しベルトの摩耗をチェックいただくことで、早めの交換を啓蒙する活動にも力を入れている。
会社概要
バンドー化学株式会社
〈代表者〉代表取締役社長 吉井 満隆
〈本社〉兵庫県神戸市中央区港島南町4-6-6
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- ・日本ワイパブレード(株)
- ・横浜油脂工業(株)
- ・大和工業(株)
- ・バンドー化学(株)
- ・三ツ星ベルト(株)
- ・東洋エレメント工業(株)「燃料フィルタ、エアクリーナエレメント、オイルフィルタ、キャビンフィルタ」
- ・ミヤコ自動車工業(株)
- ・制研化学工業(株)「ブレーキ&クラッチパーツ、ブレーキフルード、クーラント」
- ・HKT(株)
- ・武蔵オイルシール工業(株)「オイルシール」
- ・大野ゴム工業(株)
- ・谷川油化興業(株)