東洋エレメント工業は、フィルタ専業メーカーとして、自動車用および産業用フィルタの製造販売を、国内一貫生産により手がけている
自動車用製品としては、エアフィルタ、オイルフィルタ、フューエルフィルタ、キャビンフィルタ(エアコンフィルタ)を柱として展開しているが、中でもキャビンフィルタは、市場に登場した15~20年前から毎年2けた増で拡大を続けている。
キャビンフィルタは、車のエアコン内に取り付け、花粉や埃を除去することで車内空間を快適な状態に保つ。
現在の自動車用フィルタ需要は、エアフィルタ、オイルフィルタが中心だが、ガソリンエンジンから電気へといったパワートレインの変化に伴い、将来的には市場縮小が予想されている。
このため同社では、車の構造変化に影響されず、成長商材として今後もさらなる需要拡大が見込まれるキャビンフィルタを将来の重要な収益源として捉え、開発販売に力を入れている。
◆濾紙から見直した高機能キャビンフィルタ「エアクリィーズ」を市場投入
同社は国内メーカーとしてはいち早く、2001年に脱臭・防カビ・抗菌効果などを付与した高機能キャビンフィルタを開発し市場展開してきたが、一昨年にラインアップを一新。PM2.5に対応した高機能キャビンフィルタ「エアクリィーズ」を発売した。
近年健康被害の恐れがあるとして社会問題化しているPM2.5(微小粒子物質)にいち早く対応。開発にあたっては濾紙から見直しを図り、細かい粒子も捕捉する目の細かさと通気性とを両立させたメルトブロー不織布を採用した。
除塵に特化した「fine(ファイン)」と 多機能タイプの「plus(プラス)」の2種展開。「plus」は、除塵機能に加え、脱臭、防カビ・抗菌効果を付与。さらに濾紙に抗アレルゲン剤、銀イオンなどを吹き付けることで、アレルゲンやインフルエンザウィルスの侵入も抑制する。
オイル交換時しか交換できないオイルフィルタや、エンジンルームがコンパクト化した影響でユーザーによるチェックが困難となったエアフィルタと異なり、ユーザーが簡単にフィルタの汚れを確認できるため、店頭で販促しやすいということもキャビンフィルタの大きな利点だ。
現状ではディーラーが市場シェアの約7割を占めるが、潜在需要を掘り起こし、さらなる市場拡大を図るには、整備工場での交換促進が鍵。同社ではポスターやチラシなどの販促グッズを提供し、整備工場でのキャビンフィルタ交換を啓蒙する活動も積極的に展開している。
◆生産性向上の取り組みと不具合品の流出防止でシングルPPM達成
製造拠点である栃木工場では、国際規格ISO9001認証に基づいた生産管理体制を推進するとともに、環境へも配慮した製品作りを行っている。
また、同社の大きな特長である不良率の低さを支えているのが、製造過程で不具合の発生を確認した場合、発見した社員が即座に当該製品の全ての製造ラインを停止することができる「出荷停止システム」。
不具合を発見した時点で、迅速に出荷を停止して原因究明を行い、不具合品の市場への流出を徹底して防止する同社独自のシステムにより、同社製品の不良率は極めて低いシングルPPMを達成している。
近年では、とちぎ自動車産業振興会が主催する中小企業現場改善指導をはじめとした現場改善の取り組みにも参加し、外部講師による現場指導など、さらなる業務改善・効率化に向けた活動を積極的に行っている。
特にこの数年は、社員の多能工化を推し進めている。1人の社員が複数の作業を習得し、幅広い業務により柔軟に対応できるようにすることで一層の生産性の向上を図るべく、社員教育に力を入れている。
会社概要
東洋エレメント工業株式会社
〈代表者〉木村三喜夫
〈本社・東京営業所〉神奈川県川崎市宮前区菅生1-8-18
〈栃木工場〉栃木県那須郡那賀川町馬頭2453
〈URL〉http://www.toyoelement.co.jp
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