HKT(本社=神奈川県相模原市、山﨑正男社長)が新社屋を相模原市に建設し、5月から業務を開始。従来の4拠点に分かれていた製造・物流を集約し、業務の効率化を目指す。山﨑社長に話を聞いた。
話をよく聞き、皆で実行
山﨑社長は、1978年に入社。製造部工場長や設計開発本部長、HKTフィリピン社長などを歴任してきた。昨年10月に、突然の社長就任。申し送りもない状態ながらも、混乱なく移転事業を進めた。
好きな言葉は、旧日本軍の山本五十六の「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず」。自分の主義・主張を通すよりも、他人の意見をよく聞き、常にニュートラルであることを心掛けている。
HKTフィリピン社長を務めたときには、日本とは違い1から10まで全て教えなければ仕事がうまくいかないことに戸惑った。それでも、「現地の方々を理解すると、うまくいった。良いか悪いかということではなく、現実を理解することが大事」と、他人を敬う姿勢を崩さない。
「移転成功と工場の一本化を、効率良く進めることが先決」と語る山﨑社長は、皆で考えていく姿勢で同社を発展させていく。
―移転の理由は
工場が老朽化し、立地が不便で、拠点が点在していたからです。以前から、建て替えか移転かの検討をしていました。前本社工場は、築50年以上。前の道路幅が狭く、製品搬入時に大きなトラックが入りづらかったのです。周囲が住宅地でしたので、騒音も気になっていました。また、事業拡大に伴い手狭になったので、06年に八王子市内のみなみ野に事業所を設立し物流倉庫を作ったのですが、本社や倉庫、工場が点在することになりました。
―移転の経緯は
08年には、建て替えを目指し図面起こしまでいったのですが、リーマンショックのため、中止したという経緯があります。当時の社長富田から先代社長の長屋に交代してからも、ずっと検討を続けていました。
―移転の決め手となったのは
偶然、相模原市が企業誘致に積極的だとわかりました。順調に話が進み移転が可能となり、現在の場所に決まって15年に土地を購入。長屋が陣頭指揮をとり、同年5月から建築を始めていました。ところが、長屋が突然同年10月に倒れ、同月21日に逝去し、同月27日の臨時取締役会で、私が社長に就任。本社と工場が完成するまでに、長屋の社葬や落成式も行い、移転が完了しました。
―生産拠点の集約で期待すること
拠点が分散していることで会議などの際に社員の移動があり、意思伝達など非効率でした。機能を分散していると、生産管理部門を場所ごとに置かなければなりません。3か所ならば生産責任者が3人必要ですが、1か所に集まれば1人か2人でできます。これからは、より組織的に動けるようになると思います。
―新社屋のデザインについて
事務棟の外装や骨組みはそのままで、中は居抜きで購入しました。工場は新築しました。事務棟のビルは以前、日本板硝子様が使われていたもので表が特殊なガラスでできています。先代の長屋が、デザインをとても気に入っていました。全面が窓ですので、冬は暖かそうです。
―新社屋の機能について
組み立てラインの3階は事務棟と工場が筒抜けになっており、長さは直線で100㍍ほどあります。設計部門は1階に来ます。試験設備を自社で持っているためで、振動や加温などの試験も行えます。以前は工場が狭く、新しい仕事が入ると別の設備を借りてこなさなければなりませんでした。広くなりましたので、こちらの新工場ですべて行うことができるようになりました。
―会社の今後は
主力製品の電磁弁は様々な場面で使われておりますので、自動車と全く違う業界も視野に入れています。例えば、自動で水が出るトイレですとか。自動車で培ったノウハウを、活かしていきたいと考えております。
―優良部品について
エアーホーン、マグネチックバルブ、グロープラグなどを製造しています。自動車の電子化が進む中で、部品の変化に対応したいです。あと10年でハイブリッド車だらけになり、20年後には自動運転になるかもしれません。目先の利益ではなく、5年後や10年後を見据えていきたいです。自動車市場は大きくはならないので、その中でいかに良い商材を見つけるか。既存モデルの拡充などを考えています。
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- ・三ツ星ベルト(株)
- ・東洋エレメント工業(株)「燃料フィルタ、エアクリーナエレメント、オイルフィルタ、キャビンフィルタ」
- ・ミヤコ自動車工業(株)
- ・制研化学工業(株)「ブレーキ&クラッチパーツ、ブレーキフルード、クーラント」
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- ・武蔵オイルシール工業(株)「オイルシール」
- ・大野ゴム工業(株)
- ・谷川油化興業(株)