自動車用を中心としたワイパーの企画開発・製造・販売を一貫して行うマルエヌ。半世紀以上ワイパー製造を手がけてきた実績をもとに、部品商ルートから量販店までアフターマーケットのニーズに対応した幅広い製品を供給している。
◆ゴム・形状ともに幅広いラインアップに対応
近年ワイパーは、ニーズの多様化などにより材質・形状ともに複雑化。ブレードの形状についても、トーナメントタイプからデザインワイパーまで多岐にわたるワイパーが市場に流通している。
同社でも、ノーマルゴム、グラファイト、撥水ゴムに、同社独自のギラレスを加えた4種のワイパーゴムをラインアップ。そのうえで部品商ルート向け製品としては、グラファイトワイパー「ミューチャンプ ブローヴァ」、デザインワイパー「ミューテクノ・エアロデザイン」、撥水ワイパー「ポップコート」など雨用ワイパー5シリーズ(リヤ用含む)に替えゴム4シリーズ、さらに雪用ワイパー4シリーズを投入している。
大型車や建機といった特殊車両用のワイパーが充実していることも同社の強み。特殊車両用ワイパーについては、市販メーカーの中でトップクラスの品揃えで対応しており、大型トラックの販売拡大などに伴い需要拡大も期待される。
現在市場の主流となっているグラファイトワイパーは、ゴムの摩擦係数を少なくすることでビビリ等を防ぎ、払拭性能を向上させる。また撥水ワイパーは、特殊シリコンゴムにより、ガラス表面に撥水被膜を形成し水分の付着を防ぐ。
こうしたワイパーゴムの機能によって払拭性能を向上させるワイパーは、現在数多く市場投入されているが、その先駆けとなったのが同社が94年に発売した「ギラレス」だ。
「ギラレス」は、トルマリンの微粒子をゴムに練り込み、雨などの水を電気分解し活性化させることで、普通の水では入り込めない油膜とガラス面の界面に入り込み汚れや油膜を浮き上がらせ除去する。ガラス表面に被膜を作り水を弾く撥水ワイパーとは逆の、ガラスそのものをきれいにすることで視界を確保するという独自のアプローチが特長だ。
(ブレードでなく)ワイパーゴム自体に付加価値を付けたワイパーは「ギラレス」が業界初で、95年には「日刊自動車新聞用品大賞」も受賞。現在でも同社の主力製品のひとつとしてラインアップされている。
また近年では、新車装着の拡大に伴い、デザインワイパーに注力。デザインワイパーについては、部品商ルートはもちろん量販店ルートにおいても現状では交換需要は小さいが、今後さらに市場の成長が見込めるとして期待も大きい。
◆ワイパーへの意識向上の取り組みも
雨天や降雪時の視界確保のために欠かせないワイパーだが、常に車両の外部に装着され、雨雪だけでなく埃や紫外線にもさらされることで、ワイパーゴムは使用しなくても劣化が進み拭き性能が低下する。ゴムだけでなくブレードも経年劣化により払拭性能が低下するため、定期的な点検と交換は重要だ。
同社をはじめとしたワイパーメーカーは、半年ごとのゴム交換、1年ごとのワイパー本体の交換を推奨しているが、部品商ルートを中心に交換サイクルは長期化しており、約3・5年程度で推移している。また整備工場を中心に低価格製品へのニーズが高く、交換シェアの約6割を替えゴム交換が占めているのが現状。
特に優良市場では、デザインワイパーが新車装着されている車種であっても、交換時に単価の低いトーナメントタイプのワイパーを装着するといった例も多い。
同社では、こうした低価格志向の背景には、ワイパーそのものへの認識の低さも影響しているとして、整備業者やカーユーザーを対象にワイパーの重要性をアピールする啓蒙活動も積極的に行っている。
またホームページ上でもワイパーのメカニズムや交換方法などを解説してユーザーへアピール。さらに加盟している日本ワイパーブレード連合会(JWF)においても、東京オートサロンへの出展などを通じ、主にユーザーへの啓蒙活動を展開している。
会社概要
マルエヌ株式会社
〈代表者〉野口悦正
〈本社〉埼玉県朝霞市栄町2-1-40
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2016年
- ・日本ワイパブレード(株)
- ・横浜油脂工業(株)
- ・大和工業(株)
- ・バンドー化学(株)
- ・三ツ星ベルト(株)
- ・東洋エレメント工業(株)「燃料フィルタ、エアクリーナエレメント、オイルフィルタ、キャビンフィルタ」
- ・ミヤコ自動車工業(株)
- ・制研化学工業(株)「ブレーキ&クラッチパーツ、ブレーキフルード、クーラント」
- ・HKT(株)
- ・武蔵オイルシール工業(株)「オイルシール」
- ・大野ゴム工業(株)
- ・谷川油化興業(株)