リベット専業メーカーとして、年間約1億6千万本、数千種類のリベットを製造する大和工業。
リベットは「部品の中の部品」といわれ、自動車をはじめ、産業機械、家電製品、OA機器など様々な製品で部品接合に使用され、その応用範囲は幅広い。
同社は創業当初から端面に穴の開いた中空リベットの製造を得意とし、技術力の高さには定評がある。特に加工難度の高いφ0・6の穴径を実現した「極細穴径の中空リベット」は、川越市の優れた工業製品・技術を認定する「川越ものづくりブランドKOEDO E―PRO」にも認定されている。
最近ではHPのリニューアルや各種展示会への出展など、同社の優れた製品・技術をより広く認知させるためのPR活動も積極的に行っている。
◆高い接合力に信頼。大型車のブレーキ部品で活躍するリベット
売上の約半分を占める自動車用リベットについては、大型・中型クラスのトラックを中心にブレーキの摩擦材(ライニング)とシューを接合するブレーキライニング用リベットが主体。OEMだけでなく、補修市場に対しても純正同等の品質の製品を供給している。
小型車の場合、接着剤で摩擦材とシューを接合するのが主流だが、より強度が求められるトラックやバスなどの大型車については、リベットによる接合力への信頼から、現在でもリベットが使用され続けている。
またリベットでの接合は、ブレーキライニングから摩耗した摩擦材を取り外して新しいものと交換し、シュー部分は再利用することが可能なため、省資源・環境保全にもつながる。
リベットの材質は、当初加工のしやすさからほぼ100%が真鍮製だったが、その後原材料価格の高騰などの影響により、現在では鉄製が主流となりつつある。
鉄製のリベットは価格が安い一方、真鍮より硬いためかしめにくく割れやすいといったデメリットもある。このため加工性を向上させる目的で「焼きなまし」と呼ばれる熱処理やめっきを施す必要がある。これらの工程はそれぞれ専門業者へ依頼するため、同社では外注先で異物が混入していないかを出荷前に検査するなど、品質管理により一層の注意を払っている。
◆異物混入防止対策を徹底し、万全な製品を市場に供給
独自の品質管理マニュアルに基づき、万全な製品作りに取り組む同社では、「社員のあなたもお客様の一人です」をモットーに、一人ひとりが(製品を使用する)ユーザーの立場に立ったものづくりを心がけるよう指導している。
中でも特に注力しているのは異物混入の防止。リベットはサイズ展開が細かく、わずかでも異なるサイズのリベットが混入することは、部品の不具合に繋がるためだ。
「リベットは小さな部品だが、1本1本心を込めて作っている。そのためにも異物混入はあってはならない」として、製造現場では全てのプレス機械にセンサを取付け、不具合(異物混入)を感知すると自動的に停止するよう対策を講じているほか、製造の各工程においても、混入を防ぐための仕切りを設けるなど配慮を徹底している。
2012年には本社工場を移転。前年に発生した東日本大震災での経験をもとに、新工場ではそれまで3フロアに分かれていた工場を1フロア型とすることで、安全かつ快適な作業環境を実現した。社員間のコミュニケーションも円滑になり、生産効率向上にもつながった。
植栽による環境緑化や騒音対策など周辺環境にも配慮した同工場は、埼玉県内の技術力や環境面で優れた工場を指定する「彩の国工場」にも選ばれている。
会社概要
大和工業株式会社
〈代表者〉名児耶健治
〈本社〉埼玉県川越市福田205-1
〈URL〉http://www.daiwa-kogyo.jp
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