一般社団法人日本自動車部品協会（JAPA）　理事長　青木乙彦

　明けましておめでとうございます。皆様方におかれましては健やかに新年を迎えられましたこととお慶び申し上げます。旧年中は弊会運営に対し多大なるご支援、ご協力を賜り、厚く御礼を申し上げます。

　さて昨年を振り返りますと、元日から能登半島地震という衝撃的な出来事で幕が開きました。線状降水帯による豪雨の多発や記録的な猛暑など、気候変動の影響を強く感じる年でした。

　日本経済においては、長らく続いたコロナ禍の影響を脱して景気は持ち直しているものの、物価高により個人消費マインドの停滞が続き、回復のペースは緩やかにとどまっているように思います。

　海外に目を転じますと、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化、その影響による欧州での政治情勢の混乱、緊迫状態が続く中東、中国経済の低迷等々、海外情勢の不安定さが増しており、先行きは相変わらず不透明なままです。

　また、次期アメリカ大統領にトランプ氏が選出され、通商を始め多くの分野において政策転換が図られると見られており、世界経済にどのような影響を及ぼすか、非常に注目されます。
　こうした中、我々のアフターマーケットビジネスは、国内外とも堅調な補修需要に支えられ、安定的に推移しております。国内では地域部品商様の展示会が各地で活発に開かれ、優良部品をＰＲしていただいておりますことに感謝を申し上げます。また海外でも販路の開拓や拡大、商材の充実に努め、円安効果もあって好調を維持しております。
　補修需要は安定的である一方で、自動車については技術革新、電子化が急速に進んでおり、それに伴い自動車の検査や点検整備の分野においても電子化への高度な対応が急務となっております。特に昨年からＯＢＤ検査の実施が本格的にスタートし、その円滑な運用のために整備事業者様への的確なサポートが求められています。
　アフターマーケットを取り巻く環境は、自動車および整備制度の変化だけでなく、部品業界自体の再編や流通の多様化も急速に進んでおり、重要な変化の過程にあります。
　こうした変化を成長につなげていくためには、勉強を怠らず、正しい情報を得て、従来の方法にとらわれない柔軟な姿勢で対応していくことが大事です。
　変化の時代では困難に直面することも多いですが、会員同士のコミュニケーションを活発に図り、情報交流の中から進むべき方向を見出すことができると思います。コロナ禍も明けて対面での人と人との交流が盛んになってきたことは大変喜ばしいことです。会員同士はもちろんのこと、関係官庁や関係団体の方とも積極的に交流を促進し、連携を一層深めて、大変革の時代をともに進んでまいりたいと思います。
　我々の基本的な役目は、『世界の隅々にまで、安心・安全・快適をタイムリーにお届けする』ということですが、そのサービスを提供するのは「人」です。人手不足は深刻な悩みですが、いい人たちに来てもらって、いい業界、豊かな業界にしたいと願います。それには我々自身がこれまでの習慣や古いしきたりにとらわれずに、謙虚に新しい視点を持つことも必要なことでしょう。
　ことしは「巳年」です。「巳」は蛇を表し、蛇は脱皮を繰り返して成長することから、生命力が強く再生のシンボルとされ、不老長寿を象徴する動物とされております。ことしの干支にあやかり、力強く発展の道を歩んでいけるよう、どうぞ本年も一層のご支援とご鞭撻をお願い申し上げます。

　最後になりましたが、本年が皆様にとりまして素晴らしい一年となりますよう、ますますのご健勝とご発展を心よりお祈り申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。