自動車タイムス社では昨年末、恒例の「部品商アンケート」を実施。

 集計結果を見ると、補修市場では約70%の企業が景況感が悪化したと答えており、依然厳しい状況であることがわかった。一方で、2015年の売上高は約40%の企業が増加し、減少は約30%にとどまっていることもわかった。

 同アンケートは全国の地域部品商120社を対象に、65社の有効回答を集計した。

2015年の補修部品市場について

(1)貴社の従業員数は。

   11〜20人          24%

   6〜10人          16%

   31〜50人          16%

   1〜5人            12%

   21〜30人          10%

   51〜100人          10%

   100人以上           10%


(2) 貴社の年商は(グループ企業などの場合は自動車関連部門の売り上げ)。

   1億〜10億円以下      48%

   10億〜30億円以下      33%

   5千万〜1億円以下       10%

   30億〜50億円以下        6%

   50億円以上          4%


(3)貴社の社長の年齢は

   61〜70歳          40%

   51〜60歳          21%

   71歳以上           19%

   41〜50歳          15%

   40歳以下             6%


(4)2015年の売上金額の増減は。

   増加した         38%

   変わらない        31%

   減少した         31%

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(5)〈(4) で増加または減少したと回答した方のみ〉その増減は。

   5〜10%          47%

   5%未満           35%

   10〜20%          18%


(6) 2015年に、貴社の業務の中で最も利益をあげたのは。

   一般補修部品販売      71%

   リサイクル部品販売     14%

   タイヤ販売         4%

   加工・製造         4%

   機械工具販売        2%

   その他           6%

   (その他)

   ・デジタコによる運行管理システム

   ・純正外装部品


(7) 補修部品の中で販売量が増加したもの、減少したものは。

  〈増 加〉

   ・バッテリー

   ・エアコンフィルタ(回答多数)

   ・オイル(回答多数)

   ・オイルエレメント(回答多数)

   ・ディスクローター(回答多数)

   ・リサイクルパーツ

  〈減 少〉

   ・タイミングベルト(回答多数)

   ・ディスクパット(回答多数)

   ・カップキット(回答多数)

   ・車検部品(回答多数)

   ・ウォーターポンプ(回答多数)

   ・エアーエレメント(回答多数)

   ・テンショナー(回答多数)

   ・板金(回答多数)

   ・ベルト(回答多数)


(8) 補修市場全体の景況感は。

   やや悪化した        48%

   変わらない         22%

   悪化した          20%

   やや好転した        10%

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(9) 貴社が2015年に最も販促に力を入れた商材は。

  ・タイヤ(回答多数)

  ・バッテリー(回答多数)

  ・エアコンフィルタ(回答多数)

  ・リビルト(回答多数)

  ・運行管理システム

  ・大型車用整備機器

  ・機械工具(エンジン診断機)


(10) 2015年で最も印象に残った自動車業界(含むアフターマーケット)の出来事は。

  ・VWの不正問題(回答多数)

  ・タカタのエアバック関連のリコール

  ・HV車の増加

  ・大型車のパーツが増えていること

  ・カーディーラーによるユーザー囲い込み増加

  ・ガソリンスタンドの統合と減少

  ・グッドイヤーと住友工業の提携解消

  ・後継者高齢化問題

  ・新型プリウスの発表

  ・自動ブレーキ標準搭載車

  ・自動運転

  ・整備士不足

  ・東京と地方との車種の新しさの意味での格差

  ・東京モーターショー

  ・トヨタMIRAI

  ・バッテリーメーカーの統合

  ・保険料率改定による板金部品の減少


 「売上増」が前回の28%から38%に増加し、「売上減」は50%から31%に減少した。増減比率は、82%が10%以内となった。

 ただし、補修市場全体の景況感は「悪化」または「やや悪化」が前回の86%からは減少したものの、依然69%と高い割合になっている。2016年の補修市場の景況予測でも「やや悪化する」と「悪化する」が合わせて55%に達し、「やや好転する」と「好転する」は合計8パーセントにとどまっている。

 販促に力を入れた商材には、タイヤやバッテリーが数多く挙げられた。


次世代車への対応について

(1)HV車など次世代車関連商材の取り扱いは、昨年に比べて増えたか。

   変わらない        60%

   増えている        23%

   減っている        13%

   扱っていない         4%


(2)〈(1) で増加したと回答した方のみ〉特にどのような商材が増えたか。

  ・バッテリー(回答多数)

  ・エレメント

  ・診断機

  ・タイヤ

  ・電装関係

  ・板金部品

  ・リレー関係


(3) 取引先の整備工場で、次世代車の整備・修理を手がけている工場は。

   変わらない        45%

   増えた          40%

   ない             8%


(4)〈(3) で変わらない、ないと回答した方のみ〉増えていかない要因をどのように見ているか。

  ・カーディーラーによる顧客の囲い込み(回答多数)

  ・検査機器導入の遅れ(回答多数)

  ・車が入庫してこない(回答多数)

  ・高齢化のため

  ・知識や技術の不足

  ・小規模のため

  ・新車保証期間内のため


(5)次世代車の普及拡大による市場構造変化に備え、貴社での対応策は。

   検討中          61%

   すでに対応に着手している 20%

   特に対策はない      16%

   2016年以降実施する予定  2%


(6)〈(5) ですでに対応に着手している、または2016年以降実施する予定と回答した方のみ〉どのような対応策か。

  ・新販売ルートの構築

  ・次世代車よりも、環境対応ディーゼル車に注目する

  ・設備投資と人材育成

  ・テスターの導入

  ・バッテリー販売の強化

  ・メーカーとの情報交換

  ・HV車検メニューの提案


 年々増え続けている次世代車への対応について、取引先の整備工場で、次世代車の整備・修理を手がけている工場は「増えた」が前回よりも10%以上増の40%に達した。

 一方で、次世代車の普及拡大による市場構造変化に備えての対応策は、「検討中」と「特に対策はない」が合計77%で、「すでに対応に着手している」の20%を大きく上回っている。


今後のアフターマーケット動向について

(1)2017年に予定されている消費税増税への対策は。

   特に対策はない      80%

   準備中          18%

   すでに対応している      2%

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(2)〈(1) で対応している、または準備中と回答した方のみ〉どのような対応策ですか。

  ・1カ月ずつの売上の算出

  ・伝票と会計ソフトの導入


(3) 今後、補修部品関連で成長の期待できる商材・サービスは。

  ・リビルト(回答多数)

  ・タイヤ(取り付けも含む)(回答多数)

  ・バッテリー(回答多数)

  ・ドライブレコーダー

  ・後付け付加価値部品

  ・イグニッションコイル

  ・エアコンフィルタ

  ・カーナビゲーション

  ・環境関連用品

  ・ガラス

  ・洗車コーティング

  ・タイロット

  ・点検ツール

  ・輸入車パーツ


(4) 人材育成はどのような方法でしているか。

  ・セミナーや研修会(回答多数)

  ・OJT(回答多数)

  ・社内での勉強会(回答多数)

  ・ある程度社員に任せる

  ・部品メーカーの講習会

  ・委員会活動

  ・朝礼


(5)部品商という業種の今後は。

   今後扱い品や販売先などを変化させて存続する 63%

   今後も同じ営業スタイルで存続する      15%

   存続自体が難しいと思う           13%

   その他                     6%

   (その他)

   ・従来と新しいスタイルを合わせ、情報を集め存続する

   ・第三事業分野の開拓


(6)事業継承への準備は。

   親族へ継承する      40%

   まだ整っていない     39%

   従業員に継承する     14%

   M&Aを考えている     5%


(7)部品商から見た、現在の整備工場の問題点は(複数回答)

   次世代車(HVなど)整備への対応の遅れ 42%

   集客のための取組みへの対応の遅れ   31%

   整備士不足による高齢化        26%

   その他                  1%

   (その他)

   ・提案に対して考えがない


(8)2016年の補修市場の景況予測は。

   変わらない        37%

   やや悪化する       35%

   悪化する         20%

   やや好転する         6%

   好転する           2%


(9)自動車業界(含むアフターマーケット)の動きで、特に今後注目しているのは。

  ・次世代車の普及率

  ・アマゾンなどネット販売の進出

  ・介護用車やトラック

  ・カーシェアリング

  ・ガソリンスタンドやリース会社などの囲い込み

  ・業界再編

  ・軽自動車の新古車流通

  ・車齢増加に伴う部品交換の上昇

  ・自動車の進化への部品商の理解

  ・着脱式バッテリーパック

  ・追突防止車

  ・板金部品売り上げの減少

  ・リチウムバッテリー

  ・EVやPHVの進化の度合い

  ・IT化


(10)卸商社、部品メーカーに対し提言・または要望は。

  ・新製品の開発(回答多数)

  ・三位一体の戦略

  ・インターネット販売に対する見解

  ・提案ビジネス

  ・販売指導

  ・技術と情報の提供

  ・クレーム対応力

  ・施策の見直し、廃止

  ・診断機の高性能化

  ・次世代車への優良部品の開発

  ・ジェネリック部品の立ち上げ

  ・板金商品の開発

  ・ビッグデータの共有

  ・ユーザーへの宣伝

  ・HVモジュールの制作

  ・TPP対策


(11)2016年の具体的な目標・経営戦略などがあれば。

  ・新しいビジネスルートの掘り起こし

  ・新製品の開発

  ・安心して提供できるパーツの用意

  ・外部要因に対する改革、改善、実行、検証

  ・謙虚な対応をする

  ・顧客満足と従業員満足の向上

  ・コンプライアンスの重視

  ・思案中

  ・新入社員が欲しい

  ・地道に売り上げを拡充する

  ・スピード感のある返答、配送

  ・整備工場への勉強会の開催

  ・整備工場への集客支援

  ・粗利を取って商売する

  ・2020年ビジョンの策定

  ・頻度の高い純正部品の優良化

  ・部品商以外の経営の柱作り

  ・メーカーとの情報交換・協力

  ・夢と希望、感動、感謝、感激

  ・SNSを利用した情報発信


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 消費税増税への対策実施は2%にとどまり、継承準備が「整っている」 は54%で前回比6%減だった。

 部品商の今後については、63%が「今後扱い品や販売先などを変化させて存続する」と回答し、16年の具体的な目標・経営戦略には製品面や取引方法、社員教育などさまざまな分野での意見が寄せられた。

 厳しい状況下にありながら商機を見出そうとする、各社の強い意気込みが感じられた。



一般社団法人日本自動車部品協会 JAPA