昨年末、恒例の「部品商アンケート」を実施した。

 景況が回復傾向にあることや、自動車の技術革新が注目されていること、Eコマース(電子商取引)の影響が出ていることなどがわかった。

 後編では、アフターマーケットの人材面の状況が整備工場と部品商で異なっていることや、今後は総合的なサービスが期待されていることなどがわかった。17年の景況予測では、昨年よりも明るい見通しの回答が増加した。


Ⅳアフターマーケットの人材状況

(1)部品商から見た、現在の整備工場の一番の問題点は。

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 集客のための取組みへの対応の遅れ  36%

 整備士不足による高齢化       30%

 次世代車整備への対応の遅れ     28%

 その他       6%

 【その他】

 ・後継者不足(回答多数)

 ・需要の減少

 ・利益を出せない



(2) 整備業界の人手不足が問題となっていますが、取引先の整備工場に影響は表れていますか。それは、どのような影響ですか。


 表れているように感じる      91%

 【影響】

 ・若手や後継者不足(回答多数)

 ・整備技術不足(回答多数)

 ・待遇・職場環境が悪い

 ・仕事の未消化

 表れていないように感じる     9%


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(3)貴社の人材確保状況は。


 不十分も業務に支障はない     56%

 十分確保できている        25%

 不十分で業務に支障が出ている   19%


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(4)〈(3) で十分確保できていると回答した方のみ〉人材確保対策があれば。


 ・社員皆で意見を出し顧客の変化や要望に対応。顧客から信頼される会社作り。


 整備工場の問題点には、集客への取組み・次世代車整備への対応の遅れと高齢化が、いずれも3割あげられた。

 近年問題となっている人手不足の影響は、整備工場については「表れているように感じる」が9割にも達している。後継者不足や、整備技術不足といった影響の回答が多かった。一方、部品商としては、「不十分も業務に支障はない」と「十分確保できている」が合計8割となっており、喫緊の課題ではないとうかがえる。ただ、人材確保の対策は回答が非常に少なく、手探り状態であることもうかがえた。

Ⅴ成長が期待される分野

(1)今後、補修部品関連で成長の期待できる商材・サービスは。

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 ・リビルド部品(回答多数)

 ・総合的な車両フォロー(回答多数)

 ・大型車部品(回答多数)

 ・エアコンフィルター

 ・タイヤ

 ・バッテリー

 ・リユース品

 ・安全装置

 ・イグニッションコイル

 ・イリジウムプラグ

 ・Eコマースの活用

 ・ETC

 ・エレクトロニクス商材

 ・オイル

 ・カーナビ

 ・スマホ連動可能な電装品

 ・センサー部品

 ・テスター

 ・ディスクローター

 ・トレーラー部品

 ・ベアリング類

 ・リアとサイドのミラーのモニター化

 ・リサイクル品



(2) これまで整備業の主要な収益源であった車検整備ですが、将来もそれは変わらないと考えますか。

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 将来的に主要な収益源ではなくなっていく 49%

 今後も主要な収益源であり続ける     40%

 すでに主要な収益源とは言えない     11%



(3)〈(2) で将来的に主要な収益源ではなくなっていく、すでに主要な収益源とは言えないと回答した方のみ〉今後は、どの事業が中心になっていくと思われますか。


 ・故障診断(回答多数)

 ・車販や車両買取、保険、鈑金などトータルなカーサービス(同)

 ・一般の自動車整備

 ・エコ関連商品や設備

 ・軽自動車の鈑金

 ・顧客との関係強化

 ・設備の先行投資

 ・軽自動車や軽トラック

 ・自動運転関連商品

 ・自動車保険

 ・スマホのナビゲーション

 ・タイヤ関連の店舗展開


(4) 新たに自動車部品以外の商品を取り扱う予定は。

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 検討中    51%

 ない     34%

 ある     15%



(5)〈(4) であると回答した方のみ〉どのような商品ですか。


 ・食品関連販売

 ・自動車ガラス補修施工

 ・生活用品販売

 ・電装品整備

 ・ロードサービス


 今後成長が期待できる商材としてはリビルド部品と大型車部品サービスでは総合的な車両フォローが多数あげられた。

 車検整備については、「将来的に主要な収益源ではなくなっていく」と「すでに主要な収益源とは言えない」という回答が合わせて6割に達している。代替事業として、故障診断や総合的なカーサービスが多くあがった。

 新たに自動車部品以外の商品を取り扱う予定について、「ある」は15%にとどまっているが、約半分が「検討中」で、合計すると7割にも達している。

Ⅵ今後の景況予測や経営戦略

(1)17年の補修市場の景況予測は。

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 やや悪化する      50%

 やや好転する      24%

 変わらない       18%

 悪化する        8%



(2) 自動車業界(含むアフターマーケット)の動きで、特に今後注目するのは。

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 ・次世代車へのシフト(回答多数)

 ・自動運転化の動向(回答多数)

 ・インターネット販売(回答多数)

 ・部品商レベルでのM&A、統廃合

 ・安全装置

 ・大手車販業者の展開

 ・外資の支配が進むトラックメーカーの台車の共通化

 ・高齢者の車両返納の速度と割合

 ・海外トラックやバスメーカー動向

 ・人工知能

 ・中古・リビルド品



(3)卸商社、部品メーカーに対し提言・要望は。


 ・製品や業界の情報提供(回答多数)

 ・価格と在庫、品質強化(回答多数)

 ・インターネット販売対策(回答多数)

 ・融通性向上(回答多数)

 ・マーケティングインへの意識改革(回答多数)

 ・クレーム対応策の提示

 ・指針を明確に

 ・商品の信頼性向上

 ・次世代のアライアンス

 ・純正部品のレス率の向上

 ・北欧や欧州の先進的な自動車部品の製造・流通を学ぶ

 ・販路の確立でルート無視を防止

 ・優良部品の早期立ち上げ


(4)17年の具体的な目標・経営戦略などがあれば。


 ・国内メーカーと卸商社、部品商の協力体制の構築で業界活性化(回答多数)

 ・各種講習会開催でシェアアップ

 ・外国人実習生を整備業にあっせん、紹介

 ・技術的事業価値を持つ未来の事業軸の発見

 ・工具(ライニング張替え、ローター研磨)収入増

 ・自動車部品以外のサービス

 ・整備工場サービスのレベルアップ

 ・新商材開発

 ・ディーラーに負けない価格のケミカル商品販売

 ・地域密着で社員一丸

 ・一つ一つ大切に利益確保

 ・情報提供により、安売りせずに付加価値を創出


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 17年の景況予測は、「やや悪化する」と「悪化する」の合計が6割となり前年と変わらなかった。一方で、「やや好転する」と「好転する」の合計は、前年の3倍増となっており、回復の兆しが見られた。

 今後の注目点には、昨年に続き次世代車やインターネット販売が多数挙げられた。自動運転の動向への関心も、高い様子がうかがえた。

 卸商社、部品メーカーに対する提言・要望では、情報提供という回答が増加。品質強化やインターネット販売対策は昨年に続き数多く挙がった。

 17年の具体的な目標・経営戦略では、自動車業界内での連携という回答が多かった。新たな局面を迎えている自動車部品業界で、各社が真摯に対応していこうとしている意欲がうかがえた。




一般社団法人日本自動車部品協会 JAPA